過去拍手

□クール×強気
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二人がくっつくまでの距離
クール×強き

高谷凪斗(たかやなぎと)

高校二年生。
可愛い外見とは裏腹に、少々口が悪い。
実は体が弱く、入退院を繰り返している。
叶多とは幼馴染。
抱きたいランキング三位。


枝本叶多(えだもとかなた)

凪斗の幼馴染み。高校二年生。
無口で無愛想。運動、勉強は共に上位。
凪斗以外の前では笑わない。凪斗が好き。
抱かれたいランキング二位。







ここは私立月宮学園。中高一環の男子校である。


そこに通う高谷凪斗は今年高校二年生になった。
見た目は小柄で、少し幼さを残した顔は女と言われてもわからないくらい愛らしい。
そんな彼は、女性からよりも、男性に告白されることが多かった。
今日も呼び出され、無視しようとしていたら友人達に無理やり連れてこられ、現在に至る。
「前から気になってたんだ。俺と付き合ってくれないか?」
確か彼は学園でも結構人気のある生徒だ。
この学園には、生徒たちによる人気投票、抱きたい抱かれたいランキングが存在する。
彼はその抱かれたいランキングの五位の人物だ。
因みに、このランキングの上位三位までは強制的に生徒会に入らされると言う迷惑付きだ。
「い・や・だ!」
きっぱりとそう断れば、納得いかないとばかりに言い寄る。
「何で?俺のどこがダメなんだよ?」
ランキング三位を武器に言い寄ってくるが、凪斗には逆効果だ。
そもそも、凪斗は男同士で付き合うとかが理解できない。そう言う人もいることは知っているが、自分をその対象にしてほしくなかった。
「全部!」
それだけ答えると凪斗はくるりと身を翻した。
「おい、待てよ!」
肩を掴まれ、壁に押し付けられた。驚いてる間に、男の顔が凪斗に近付く。
「何すんだよ!」
「ぐっ!?」
凪斗は力一杯男の腹に膝蹴りをくらわせた。
「こ、のっ!!」
逆上した男が凪斗に殴りかかろうとした。しかし、その手が凪斗に届くことはなかった。
「ひっ!え、枝本!」
「ナイスタイミング、叶多」
「消えろ」
低くドスの聞いた声で言われ、男は慌てて走っていった。
「ありがと、叶多」
枝本叶多。凪斗の幼馴染みで同級生だ。
「大丈夫か?何された?」
「ん。平気。ちょっと壁に押し付けられただけたから」
「壁に?」
その瞬間、叶多から黒いオーラが溢れた。
「大丈夫だって!ほら、行こうぜ、授業が始まる」
するりと叶多から離れると、凪斗は走り出した。
「凪、走るな!」
走り出した凪斗に、叶多は慌てた。
凪斗は普通の人より体が弱い。あまり無理をすればすぐに熱を出して寝込んでしまう。




幼い頃は入退院を繰り返し、一度は死の淵をさ迷ったことだってある。
成長して体力がついたため、今は入院しなくなったが。
幼馴染みで、生まれたときから一緒にいる叶多は、いつ倒れるかと気が気ではない。
「大丈夫だって!」
「あ………」
よそ見をしていた凪斗が、角を曲がったところでお約束の正面衝突をした。


「うわ!?」
「おっと!」
「凪!!」
急いで凪斗に駆け寄った。
ぶつかった相手がうまく凪斗を掴んだおかげで、凪斗は転んで怪我をすることはなかった。
「大丈夫か?」
「大丈夫」
「凪、大丈夫か?怪我は?」
「ないよ。叶多の心配性」
「あのなぁ!誰のせいだと………!」
「まぁまぁ。枝本、そう怒るなよ。な?」
声をかけるのは凪斗がぶつかった相手。
「佐原先輩………」
彼は佐原流詞(さはらりゅうじ)。この学園で一番人気の、現生徒会長だ。高校三年生。彼は三年連続抱かれたいランキング一位で、二年連続生徒会長を勤めている。
「よぉ、かわいこちゃん。あんま彼氏に心配かけるなよ」
「かわいこちゃん?彼氏?おい、叶多。こいつ何言ってんだ?あ……」
頭おかしいんじゃねーの?と言いかけたところで、叶多が凪斗の口を手で塞いだ。
「へぇ〜。きみ、もしかして高谷凪斗?うん。噂通り可愛い顔して口が悪いな」
「先輩には関係ありません。行くぞ」
「うん。べー」
叶多に手を引かれ、凪斗は去り際に流詞に舌を出した。
残された流詞は楽しそうに口許を緩めた。
「ふぅん。あの二人、まだそう言う関係じゃないのか。………これから楽しくなりそうだな」
追いかけてきたかいがあった。冷静で何事にも無頓着で、クールで有名な彼に、顔色を変えさせる人物がいた。それが高谷凪斗。
「あ!流こんなとこにいた!!」
「おー、サキ。どうした?」
「先生が呼んでるよ。早く生徒会メンバーを選出しろってさ」
「選出も何も、ランキングで決まってるだろ。上位三人は分かってるんだろ?」
面倒そうに頭をかきながら言えば、サキと呼ばれた少年は首を振った。
「一人辞退したんだって」
「はぁ?辞退だと?んなの無理だろ?あれは強制だ。誰だよそいつ」
「えっと、確か高谷凪斗ってやつ。二年で、抱かれたいランキング三位」
「高谷凪斗……?」
「うん。そう。流の方から話してくれる?」
「分かった。さて、これから楽しくなるな!サキ。凪ちゃんのところにいくぞ!」
「は?凪ちゃん?あ、まってよ〜」
流詞は鼻唄混じりに歩き出す。その後ろをサキが慌てて追いかけた。



「厄介なのに目を付けられたな……」
叶多はため息混じりそう呟けば、凪斗はえ?と振り返った。
「何でもない」
叶多の苦労は、まだ始まったばかり。



よくわからないまま終わり。

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